2016年12月27日火曜日

ジェイミー・ミッチェル

Zen Nutrition サポートアスリート、ジェイミー・ミッチェル、WSLビッグウエイブツアーナザレで堂々の優勝!
(Text by Tomoko Okazaki/同じくZENサポートアスリートの岡崎友子さんがレポートしてくれました!)




オーストラリアの元ライフガード、ジェイミー・ミッチェル、43歳。
世界的に有名でパドルレースでは最も過酷なモロカイ海峡横断レースを2002年から2011年の間に10回優勝しているという輝かしい戦績を持つ。その後スタンドアップでも初期の頃から頭角を現しオールラウンドなウオーターマンとして世界中に知られるようになっていたが、サーファーとして認められるのはその後だった(もちろん仲間内では知られていたが)。

ジェイミーは昔から海で常に自分自身へのチャレンジを与えてくれるものに惹きつけられてきたという。
大きな波でパドルすることは自分が直面してきた中でも最もハードで多くを要するチャレンジであり、だからこそ彼はそれを追求してきた。
強さ自慢のたくましい男たちが泣くほど辛いモロカイ海峡横断レースで10回優勝という、おそらく誰も越えられない記録をもつジェイミーはそのレースについてこう語る。
「あのレースは選手のパドルボードのスキル以上のものを要求される。体力、そして精神力の強さ、そして海でのナビゲーションスキルを極限まで試されるレース。山に例えればモロカイレースは僕にとってのエベレストなんだ。」
彼は以前ヘビーウオーターアワードという賞を受賞したこともある。これはヘビーなコンディションの中で最も英雄的な行為、勇敢なライディングを見せたものに与えられる賞でもある。


ここ数年はビッグウエイブに集中し、WSLのビッグウエイブツアーを回り、それ以外の時は世界中のストームをモニターして、あちこちのビッグウエイブスポットに出没、ビッグウエイブサーファーとしての地位を確立していいる。とはいえ強豪ばかりのビッグウエイブツアーの中で、今までいつも優勝候補の一人であるにもかかわらずファイナルヒートに出ることもなかった。
今回ポルトガル、ナザレで開催されたWSLビッグウエイブツアーで強豪を抑えて念願の初優勝を決めた。

「大会の日はとにかくサバイバルの一言に尽きた、たくさんの人が恐怖におののくようなワイプアウトをしているのを目の前で見たよ。
優勝できたことは言葉に言い尽くせないほど嬉しい、でも朝から大会が終わるまで1日とおしての素晴らしさは優勝よりもすごかった。
一日中コンディションはとても危険でヘビーな状態にもかかわらず、自分が落ち着いてて海で不安を感じていなかった。ボードは素晴らしい動きをしてくれてそれが自分に大きな自信を与えてくれていたよ」




いろんなビッグウエイブの大会で私が個人的に感じていることが一つある。
あの大きな波に乗る時にくだらないエゴは通用しない、個人の勝ち負けは大自然のパワーの前でちっぽけなものになる、だからある意味ビッグウエイブサーフィンとコンペティションというのは矛盾している部分があるのだが、それを十分理解した上で、自分自身のチャレンジとしてその大会に出ているサーファー達が多いと思う。
そして、そういう同じ思いを共有しているし、また大波の中でお互いの安全を見守り助け合いながらもベストアンドビッゲストウエイブを乗るために全力を尽くす。その中で優勝するのはその日その場所と波のエネルギーと自分がマッチしたサーファーなのだと思う。見ているとたまたまその日その人の今までの努力が全ていい形で出せる日であったり、どこか神がかったような、自分の力だけでなくどこかからの大きな力がその人を助けているようなライディングを見せる時がある、そしてそれはある程度トップの選手であれば順番に来るような気がする。今日はあいつの日だったね、という感じで周りも悔しさはあるだろうけれど、その人のライディングの凄さに感動し、心からの祝福を送る。
世界中のビッグウエイブスポットで波を共有しながら旅を続ける仲間達は本当に仲がいい。そして大会がなくても誰が上手いのか、誰が本当に全てをかけて波に向かっているかなどよくわかっている。だから勝つべき人が特にいつ優勝してもおかしくないのに、なかなか勝てずにいた人が勝った時には周りの選手やサポーター達も本当に喜び、祝福する。
そこにはジャッジへの不信感やジェラシーなどチンケな感情は一切存在しない、自然への畏敬の念とそれに向かっている純粋な気持ちを持ったサーファーへの尊敬だけ。
スペシャルな日を一緒に共有した喜びの方が自分が勝てなかったというような小さな不満など潰してしまう。大会後の夜はみんなでその日に乗ったそれぞれの波については乾杯し話に盛り上がり肩を抱き合いながらまた次の大波に思いを馳せる。そんな彼らは本当に輝いて見える。

ジェイミーはいつ勝ってもおかしくない。誰よりも世界中のビッグウエイブを追いかけて精力的に旅をしている。
誰も奪えないほどのステータスをパドルボードで持っているにもかかわらず、自分が本当にしたいことを追求し、パドルボードレース、スタンドアップでのプロ生活よりビッグウエイブを追求することを選んだ。彼の海における、それもヘビーなコンディションでの実力は、ケリースレーターが「世界で最も知られていないトップウオーターマンサーファー」と描写したほど。
 実力はあるものの今まで優勝どころかファイナルに上がれたことがなかったらしい。だからこそ、今回の優勝は本当に嬉しかったに違いない。
そして彼以上に喜んでいた周りの仲間達。そこに彼の人柄の良さ、そして今までの努力とビッグウエイブへの献身をみんなが認めていることがよくわかる。
彼が自分でSNS などにアップする前に世界中で彼を応援していた仲間達が嬉しくてたまらないというようにSNSなどで彼の勝利について投稿していたとことからもよくわかる。
いい波に乗っても、普段からこれだけ好かれていて、尊敬されていなかったらそんな風にはならない。
そして実際優勝して素晴らしい賞金を得ても周りから「?」と思われたり、祝福されないような態度を普段からしている人より、なかなか勝てなくてもあいつはいつ勝ってもおかしくない、やっと勝てたねと言われる存在の方がその人の人生は幸せなんじゃないかと思う。



いつ会っても誰にでもおごるところのない自然体な態度を見せるジェイミー。精神的、技術的、そして体力的に一切妥協せず、もっともタフで強靭なウオーターマンとして誰もが認めるジェイミーが、zen nutrition のスポーツ栄養食を愛用しているのは、その効果を実感しているから。
早速この冬も怪我なく、疲れを知らないウエイブチェイスができるように、zen nutritionも心から応援を続けていくつもりだ。

朝から夕暮れまでこの海で一ヒート一時間かかる大会に使う精神力と体力を想像して欲しい。
(実際巻かれてヒート途中で諦めて海に出なかったり、途中でもう一度アウトに出る前に、一休みして心を落ち着けている選手も大勢いたとか)



TAXT BY TOMOKO OKAZAKI